バー・オブ・バー

都会の地下にある古いバーで、カクテルを飲みました。

路地の扉を開けて階段を降りたら、すぐ店内です。
やはりカウンターには座れません。
私は一杯がせいいっぱいで、
ゆっくりゆっくり流し込みながら、
作家や編集者たちが集ったという
薄暗いバーを、背中で見ていました。
それでもやっぱり酔いは回ってしまいます。

くすんだ壁、低い天井、古いテーブル。

止まり木の下のフットレストは、
数え切れない靴を乗せてきたおかげで、
すり切れそうになっています。

女性客は少なくて、やはり黒いスーツの
男性が目立つカウンター席。
私たちはどこから見ても観光客でしょう。
黒い服を着てきたことだけが気休めです。
お客さんの入れ替わりも少ないのか、
1時間ほどの間に、
1組のお客が入ってきただけで、
出た人はいませんでした。
皆、なにやら話し込んでいます。

そういえば、地元にもこんなような
カクテルバーがあります。
もしかすると日本中にこのバーの子孫が
あるのかもしれません。

お店の人たちも、きっと長いのでしょう。
この店と同じほどではないとしても、
幾多の客たちにとって、
店の思い出であり続けているはず。

久しぶりのカクテルは
ほろ苦く、
ライムの香りを強く発していました。(マーズ)
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by wintersavory | 2005-11-15 20:58 |
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