『偽りの名画』 著:アーロン・エルキンズ / 訳:秋津知子 / ミステリアス・プレス
7月にサザビーズで、ルーベンスの宗教画が世界史上3位の 落札価格を記録しました。 ルーベンス?それって「何パーセントのルーベンス?」(笑) 現実に起きた事件の迫力にはどうしても負けてしまいますが、 贋作美術品を巡るミステリは、他の犯罪ものにはない軽みと 華麗さがあって人気があります。 『偽りの名画』 は人気シリーズ「スケルトン探偵」の作者アーロン・ エルキンズによる、美術館キュレーターが主人公の美術ミステリ。 … コレクションの中の贋作を探せ … え、このティツィアーノ?それともこっちのルーベンス? いやいや絶対このフェルメール!でもその証拠は? 定評のある軽妙な語りはこちらも冴えていて、クラナッハの描く ような美女を見た途端、巨匠に対する評価が跳ね上がる場面など 大笑い。 確かにねー、絵で見るとどこが良いのかわからない体型ですよね。 味のある脇役、丁寧な専門知識、もれなくついてるサスペンス、 フィレンツェやベルヒテスガーデンへの楽しい観光とさりげなくて 美味しい食事などなど、ディープじゃないけど感じの良いサービスも満点。 ところで、主人公が贋作調査のためにロンドンの図書館のファイルを 総ざらいする場面があるんですが、 これって『クローディアの秘密』で11歳のクローディアがやったの と同じですね。(ナルシア)
by wintersavory
| 2005-11-06 23:04
| 本*
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