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カメリア

今年はツバキとサザンカの当たり年なのでしょうか。

裏のお宅の乙女椿がまるで八重桜のように
樹全体がぽってりとピンク色になり、
お隣の山茶花の垣根は緑にきれいな赤が半分混じって
補助輪つき自転車を買って貰った隣の隣のおうちの女の子が
「きれー、きれー!」と大喜びしながら
垣根に沿って走っています。
真っ白い雪の積ったような樹があると思ったら
大輪の白椿、絞りの椿。
ひっそりと俯く侘助、
凍る地面を彩る花弁。
普段は暗い緑の葉が鬱陶しいくらいの椿の木ですが、
これほど花が咲いているのを見ると家にも欲しくなります。

あらためて見るとピンクの乙女椿の花は
綺麗な形をしていますね。
昔流行りだったのか、
カメリアのコサージュをいくつも持っていました。
ピンク、白、青、緑、コットン、オーガンジー、サテン、
端正にまとまったシンプルな人造の花です。


なぜか1958年に録音された「LA TRAVIATA(椿姫)」の
CDが家にあります。
聴衆のざわめきや咳が残る中で、
録音状態の良くない合唱が始まります。
そこに弾けるようにのびやかなヴィオレッタの歌声、
四半世紀前に世を去った伝説の歌姫
マリア・カラスの遺した声です。

Ah! Ma io ritorno a vivere
ああ、私はまた生きるのね──

椿の花束なんて縁起でもないし
ぱっとしないと思っていましたが、
白い椿の花束を幸い薄い椿姫に捧げましょう。


そんな訳でいきなりカメリアがマイブームになったのですが、
見慣れた古めかしいイメージためか
「椿」の美に賛同してくれる人が周囲にあんまりいません。
ところが先日、日本版が創刊されたマーサ・スチュワートの
リビング雑誌を書店でぱらぱら眺めていたら
ほら!カメリア特集やってる!
そうでしょ、そうでしょ。
冷たい風の中のあでやかな花、
あらためて見ると薔薇にも劣らぬ華麗さですよね。(2001/ナルシア)
# by wintersavory | 2005-12-08 20:19 |