カテゴリ:冬( 2 )

カメリア

今年はツバキとサザンカの当たり年なのでしょうか。

裏のお宅の乙女椿がまるで八重桜のように
樹全体がぽってりとピンク色になり、
お隣の山茶花の垣根は緑にきれいな赤が半分混じって
補助輪つき自転車を買って貰った隣の隣のおうちの女の子が
「きれー、きれー!」と大喜びしながら
垣根に沿って走っています。
真っ白い雪の積ったような樹があると思ったら
大輪の白椿、絞りの椿。
ひっそりと俯く侘助、
凍る地面を彩る花弁。
普段は暗い緑の葉が鬱陶しいくらいの椿の木ですが、
これほど花が咲いているのを見ると家にも欲しくなります。

あらためて見るとピンクの乙女椿の花は
綺麗な形をしていますね。
昔流行りだったのか、
カメリアのコサージュをいくつも持っていました。
ピンク、白、青、緑、コットン、オーガンジー、サテン、
端正にまとまったシンプルな人造の花です。


なぜか1958年に録音された「LA TRAVIATA(椿姫)」の
CDが家にあります。
聴衆のざわめきや咳が残る中で、
録音状態の良くない合唱が始まります。
そこに弾けるようにのびやかなヴィオレッタの歌声、
四半世紀前に世を去った伝説の歌姫
マリア・カラスの遺した声です。

Ah! Ma io ritorno a vivere
ああ、私はまた生きるのね──

椿の花束なんて縁起でもないし
ぱっとしないと思っていましたが、
白い椿の花束を幸い薄い椿姫に捧げましょう。


そんな訳でいきなりカメリアがマイブームになったのですが、
見慣れた古めかしいイメージためか
「椿」の美に賛同してくれる人が周囲にあんまりいません。
ところが先日、日本版が創刊されたマーサ・スチュワートの
リビング雑誌を書店でぱらぱら眺めていたら
ほら!カメリア特集やってる!
そうでしょ、そうでしょ。
冷たい風の中のあでやかな花、
あらためて見ると薔薇にも劣らぬ華麗さですよね。(2001/ナルシア)
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by wintersavory | 2005-12-08 20:19 |

バー・オブ・バー

都会の地下にある古いバーで、カクテルを飲みました。

路地の扉を開けて階段を降りたら、すぐ店内です。
やはりカウンターには座れません。
私は一杯がせいいっぱいで、
ゆっくりゆっくり流し込みながら、
作家や編集者たちが集ったという
薄暗いバーを、背中で見ていました。
それでもやっぱり酔いは回ってしまいます。

くすんだ壁、低い天井、古いテーブル。

止まり木の下のフットレストは、
数え切れない靴を乗せてきたおかげで、
すり切れそうになっています。

女性客は少なくて、やはり黒いスーツの
男性が目立つカウンター席。
私たちはどこから見ても観光客でしょう。
黒い服を着てきたことだけが気休めです。
お客さんの入れ替わりも少ないのか、
1時間ほどの間に、
1組のお客が入ってきただけで、
出た人はいませんでした。
皆、なにやら話し込んでいます。

そういえば、地元にもこんなような
カクテルバーがあります。
もしかすると日本中にこのバーの子孫が
あるのかもしれません。

お店の人たちも、きっと長いのでしょう。
この店と同じほどではないとしても、
幾多の客たちにとって、
店の思い出であり続けているはず。

久しぶりのカクテルは
ほろ苦く、
ライムの香りを強く発していました。(マーズ)
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by wintersavory | 2005-11-15 20:58 |