ゆらゆら水辺の夜

 ちょっと郊外にはずれると、景色が変わっています。

 いまは、田植えの季節。
 ちょっとした田んぼがあれば、どこでもうっすらと水を引いて、
 細い苗がもう植わっていたり、植えられるのを
 今日か明日かと待っていたり。
 10cmほどの深さにもかかわらず、まるで広大な水辺が
 出現したような感覚で、いつもとちがう雰囲気を
 味わっていられるのでした。

 特に夜は。

 花を育てているビニールハウスの灯り。
 幻想的なピンクやブルー、白い灯が、ハウスをとりまく暗い水面に
 ゆらゆら映って、
 まるでまるで、
 にぎやかな一団がパーティーを楽しむ遊覧船のようです。
 そう、ミシシッピー河の岸辺をゆく船。

 ゆらゆら、ゆらゆら。
 コンビニエンスストアの明るい電気看板も、
 信号機の点滅も、きっと星のかがやきまでも、
 夜の水辺をいろどっているのでしょう。

 畑のなかにぽつんとある鎮守の杜の、
 その前がゆらゆら揺れる常夜灯を映した池になっています。
 蛙の声がいっせいに鳴き交わし、山の辺に
 満月がのぼる頃。
 ここはいっときの夢のなかで、
 バリの島に変わっているのでした。

(マーズ/2002)
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by wintersavory | 2006-05-03 20:41 |
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